STORIES
株式会社 日本経済新聞社 日経イベント&セミナー プラットフォーム統合プロジェクト
部門横断のポータルサイト構築。新たな組織づくりのプラットフォームに。
TAKAYUKI WASHINO サービスディベロップメント / UXストラテジスト
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株式会社 日本経済新聞社 日経イベント&セミナー プラットフォーム統合プロジェクト

部門横断のポータルサイト構築。新たな組織づくりのプラットフォームに。

TAKAYUKI WASHINO サービスディベロップメント / UXストラテジスト
OUTLINE
1000+→1
1000 events manage on 1 platform
200,000+
page views each month
3
months to launch

これまで部門ごとに別々に運営されていたサイト情報をひとつにまとめ、これからの成長事業の器となるプラットフォームをつくる。

tambourineは、日本経済新聞社のイベントポータルサイト立ち上げのプロジェクトメンバーに加わり、ローンチから1年半たった今も、CMSまわりの改修やUI/UXの向上、収支管理の仕組みづくりまで、新しいプラットフォームづくりに関わり続けています。

開発やサイト制作という領域を超えて、デザインコンサルティングという視点からこのプロジェクトを支えてきた鷲野貴行さんに、これまでの取り組みについて聞いてみました。

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INTERVIEW
膨大な数のイベント&セミナーを、つぎの成長事業へ
このプロジェクトは、どんな風に始まったんですか?
日経さんから日経グループの様々なイベント情報を統合して提供するポータルサイト「日経イベント&セミナー」をつくりたいというお話をいただいたのは、2017年8月のことでした。
日経が関係するイベントって実はすごくたくさんあって、いくつもの部門がそれぞれに企画を立てて、年間1000件以上、グループ全体では約2000件ものイベントやセミナーを開催されています。
そこに協賛したり参画したりする企業にとっては、日経ブランドの持つ集客力やPR効果が大きな魅力になっています。日経はメディア企業ですから、イベントで発信される内容も日経の重要なコンテンツとして位置づけられているんですね。
イベントそのものにコンテンツ価値が。
プロジェクト参画のお声がけをいただいた時は、リアルイベントへの需要の高まりを受けて、イベントやセミナーを次の成長事業として育てていこうという構想が日経さんの中で生まれてきたタイミングでした。
そこで、これまではイベント情報の発信にしても、申し込みのシステムにしても、さまざまな部門や局が独自に立ち上げて運営されてきたのをまとめて管理できるようにして、プラットフォームをひとつに集約していこうと。
そのための一歩として、まずは2つの部門のイベント情報を統合し、新しいポータルサイトをつくることになったんです。
部門を越えて、新しいプラットフォームのモデルケースをつくる
もともと別々に発信されてきた情報をひとつにまとめるって、どうやって進めていくんですか?
サイトの要件定義だったり、さまざまなイベントの情報をどんな風に集約していくか、みたいなことももちろん大切何ですが、この話ってサイトづくりというよりも新しいチームづくりだと思うんですね。
チームづくり?
このプロジェクトでは、まずは文化事業局とクロスメディア営業局という部署が動き出すことになりました。
美術展やオペラなどの文化系イベントや、東京ビッグサイトで行うよう大型の展示会をあつかう局と、日経の広告メディアとクロスさせたビジネスイベントの企画を得意とされている部署なので、やっぱりふだんの業務内容もカルチャーもまったく違うわけですね。
たしかに部門が違うと、同じ会社でも、使ってる用語から違ったりしますよね。
ただ、社外のクライアントやイベント参加者からみるとどちらも日経さんの事業であることには変わりなく、一つの「日経」ブランドを作っています。日経ブランドの下での顧客体験を統一したい、という観点から、広報室ブランド・マーケティンググループ(BMG)という部署の方々が、異なる部署をつなぐ橋渡し役になってくれました。
BMGは全社レベルで日経ブランドの統一や管理を行っているチームですが、ちょうどこの時期、しっかりとしたブランドガイドラインを整備したばかりで、様々な制作物のルック&フィールや、顧客体験の統一を行なっていこうというタイミングでした。
今回のプロジェクトは、参加メンバー間で、日経のイベントに参加する顧客像や、実現したいイベント体験のイメージを合わせる作業から始まりました。それぞれの部門から参加メンバーが選任されて、BMGがワークショップを開いて意識の統一をはかることになり、僕たちもその場にアサインされました。
このポータルサイトがうまくいけば、イベント事業の成長とともに日経のブランド価値向上の取り組みにも弾みがつく。そんな期待が込められたキックオフだったのかなと思いますね。
結構いろんな意味でスタートだったんですね。
いろんな目的が込められ過ぎてて(笑)。あと求められるものとして、もうひとつ大きかったのが「スピード」です。
2017年中にはどうしてもポータルサイトをローンチしたい。しかし部門間の調整や目的・意識の統一にていねいに時間をかけたことで、実質サイト制作に着手できたのは9月に入ってから。
のこり時間は3ヵ月しかなくて、そういう意味もあって、これまでも日経さんとのサイト制作を経験してきた僕たちがアサインされたのだと思います。
「とにかくスピード優先」。3ヵ月でローンチ、9ヵ月で目標PV達成
3ヵ月というとスタートから火がついた状態だと思いますが、どう進めていったのですか?
広報を含めた3つの部門がかかわるプロジェクトなので、一般的な承認プロセスを踏んでいては、倍の時間があっても足りないかもしれません。
「とにかくまずは立ち上げを優先しましょう」「スピードを鈍らせることは一切やめましょう」そう言い続けた3ヵ月でした。
結果から言うと、サイトは無事に年内オープンを迎え、9ヵ月で目標としていた月間20万PVを達成できました。
それから1年半たった今も、毎月なにかしらの機能追加や改修が走っていて、プロジェクトチームの一員として分析レポートから改修提案、実作業までのほぼすべてを担当させてもらっています。
持ち帰るためのドキュメントはつくらず、その場で合意をつくる
そのスピードって、どうやって生み出したんですか?
まずみんなにとってよかったのは、会議に参加するメンバーのなかに、それぞれの部門で責任ある立場の方がいたことです。
であるならば、各部門に持ち帰って検討してもらうためのドキュメント資料は必要なくて、その代わりに何があればいいかというと、その場で見て判断してもらえるものなんですね。
はじめの打ち合わせから、頼まれてもいないのに勝手にプロトタイプをつくって、実際に画面を動かしながら見てもらいました。
「どんな情報を入れるべきか?」「カテゴリー分けはどうする?」大まかなサイトマップしか手元にない状態でこうした議論を繰り広げてもなかなかイメージってできなくて、どうしても空中戦になりがちです。
常に見えるものをつくって会議に臨み、出てきた意見に合わせて、そこで更新もしてしまう。お互いに宿題を持ち帰ることもなく、その場でどんどん合意をつくっていきました。
でもスピードを優先し過ぎると、誰かの意見が置いてけぼりになったり、弊害も出てきませんか?
そこもかなり意識しました。会議では発言する人が絞られてくる場合もけっこうあると思うのですが、その流れに任せて合意を取りつけてしまおうということではなく、「〇〇さんはどう思われますか?」と話を別の方に向けてみたり、できるだけみんなの意見を引き出せるような環境をつくりたいなと。
チームみんなが納得したうえでの合意をめざす、ということですね。
できるだけそうなればいいなと考えています。
イベントビジネスのファネルを描いて、KPIも定義。頼まれてないけど
「頼まれてもいないのにプロトタイプをつくった」みたいな話でいうと、もうひとつあって(笑)。今回サイトの設計だけでなく、いわゆるファネルみたいなものを描いて、イベントビジネスの全体像をまとめてみたんです。
そもそもイベントを事業として考えたときに、見込み客に対してイベント情報をどうやって届けて、集客、ロイヤルティ化へつなげていくのか。それぞれのフェーズでどんな KPI を設定すればいいのか。そんな話をしました。
スピード重視の一方で、そこに時間をかけられたのはなぜですか?
進捗スピードが上がれば、本当に必要なことに使える時間が増えてきます。時間のかかる論争や承認プロセスを回避することで、自分なりにイベント&セミナーという事業について考える時間が生まれますし、考えた結果は見えるかたちにして次のアジェンダに組み込むようにしています。お客様が求めているのはサイトを立ち上げること自体ではなく、事業が成功することだと考えて、そこは常に議論に組み込むようにしました。
収支管理の仕組みも構築。一緒にWEBサービスをつくり続けている感覚
ポータルサイトをローンチして1年半、社内のさまざまな課題を聞かせてもらって、提案を重ねてきました。たとえば最近では、CMS側の改善に取り組みながら、これまで別ドメインで展開されてきた参加申し込みシステムとの連携や、収支を含めたイベント管理の仕組みづくりにも関わらせてもらっています。
いくつもの話が、併行して動いてるんですね。
新しい成長の土台になるプラットフォームをつくろうというミッションがあるので、サイトづくりだけを見ていても駄目だし、一方で、大きな枠組みをつくることばかりに腐心していても話が進みません。いろんな課題を乗り越えていくなかで、関わる領域が広がってきた感じですね。けっこう、すごい勢いで。
僕は日経さんに常駐しているわけではないけれど、プロジェクトメンバーの一員として体を半分以上突っ込ませてもらって、一緒にWEBサービスをつくり続けているような感覚があります。日経さんのオフィスにいる時間もどんどん増えてますしね(笑)。
プラットフォームの統合を進め、ビジネスをONE IDで回す基盤へ
2つの部門からはじまったポータルサイトは、これからも加わってくれる部署を広げながら、より大きなプラットフォームへと発展していこうとしています。
この動きは、日本経済新聞のもうひとつの成長軸であるデジタル領域ともつながっていて、やがてはイベント参加者の情報も含めて、すべてをひとつのID=日経IDに紐付けられるようになっていくはずです。日経IDというデータベースの価値は大きく向上し、顧客体験もどんどん進化すると思います。
そのための基盤が今できつつあって、イベント&セミナーという新しいビジネスを機能させるために、これからも自分にできることを考えて、提案していきたいです。
「部門を越えて、どんどんひとつにしていきましょう」。この前、そんな言葉を日経の方からもらいました。担当者のみなさんも社内でデータ分析などのノウハウを急速に蓄えていて、新しいアイデアや視点が生まれ、議論がさらに活発になってきました。そんな関係性がとてもありがたいですね。
PROJECT INFO
Project Type
PROJECT IGNITION
LAUNCH PROJECT

プラットフォームの統合は、サイトづくりを超えた「チームづくり」。複数部門のメンバーが参加する会議にプロトタイプをつくって臨み、議論と合意形成のスピードアップをはかりながら、一人ひとりが意見を言える時間もしっかりつくっていく。クライアントと同じくらいイベントのことを考えて、頼まれてもいないのにビジネスのフローを図式化してしまう。部門を超えた新しいチームづくりには、新しい仕事の進め方が求められているのかもしれません。

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