INTERVIEW

ライオンハイジーン株式会社 熊野 正裕 × タンバリン 中尾 達也
材を売るメーカーから、“こと”を売るメーカーへ。デジタルを活かし需要を創造し続ける

中尾 達也 / Tatsuya Nakao

株式会社タンバリン 取締役社長
2015年9月に株式会社タンバリンを設立。お客様のビジネスに深く入り込み貢献する受託開発事業を展開。SalesforceやHerokuなどのクラウドプラットフォームを活用したWebサービスの開発を多数手掛けてきた。
Twitter @tamb_nakao

熊野 正裕/ Masahiro Kumano

ライオンハイジーン株式会社
営業推進部 営業企画グループ ディレクター 2003年に外資系洗浄剤メーカーからライオンハイジーン(株)に転職、技術系・営業系・企画系の業務を務めた後、2016年からシステムおよび情報の一元管理・活用を目的としたICTプロジェクトリーダーとしてSalesforceやAWSなどクラウドを利用しライオンハイジーンのシステム基盤整備を推進している。

INTRODUCTION

「ReDesign」というパーパス(存在意義)を掲げ、ビジネスの変革やデジタル化の推進を加速させるライオングループ。そんな中でも、真っ先にクラウド化に取り組んだのが、ライオンハイジーン株式会社(以下、ライオンハイジーン)です。

ライオンハイジーンは、これまで手がけてきた業務用洗剤の販売に留まらず、需要創造型のソリューションとイノベーションを追求し、新しいチャレンジを次々と展開する中で、衛生支援ビジネスの事業領域を拡張されています。今回は、ライオングループの中でもデジタル化の推進に大きく貢献されているライオンハイジーン 営業推進部の熊野さまにお話を伺いました。

※ このページはnoteからの転載記事です。

INTERVIEW

材を売るビジネスから、“こと”を売るビジネスへ

中尾:
新型ウィルス感染拡大の影響もあって、衛生管理の需要は大きく拡大していると思います。ライオンハイジーンさんは、コロナ前から業界でも常に新しい道を切り開かれているような印象があります。

熊野さま(以下、敬称略):
私たちの会社はライオングループのひとつとして、業務用部門を担っています。グループ全体として、これまで物売りだったところから、需要創造型のサービスを展開していこうという大きな動きがあります。例えば、休日の過ごし方を提案する「休日ハック」もそのひとつ。若い社員からも新規ビジネスのアイデアがどんどん出てきていて、グループ全体でそういった動きが活発になってきました。

▲新感覚休日おまかせサービス「休日ハック」

中尾:
ライオンさんというと衛生商品のイメージが強いですが、製品の販売だけではなく、新しいサービスを次々と手がけられていますよね。

熊野:
もともと卸店に製品を販売して終わりではなく、エンドユーザーのメンテナンスへおもむき、関係性を大切にしてきたのがライオンハイジーンの強みでした。当社では、そこに眠る可能性をデジタル活用でさらに深堀できないかと考えています。

中尾:
デジタルを活用し、どんな展開をお考えなのでしょうか。

熊野:
定期的に営業が現場に赴くスタイルでお客さまのニーズを探ってきましたが、月に一度の訪問で得られる情報には限りがありました。そこでIoT化をはじめ、現場から汲み取れる情報をデジタルで充実させて、お客様のニーズをさらに深堀りしようとしています。材を売るビジネスから、“こと”を売るビジネスへの変革を掲げ、私たちはいま、大きな転換期の中にいます。

グループのデジタルフロンティアに立つ

中尾:
熊野さんは、Salesforceのカンファレンスやインタビューにも数多く登場されていて、先頭に立って新しい“こと”を起こそうとされていると感じます。

▲ライオンハイジーン株式会社 熊野 正裕氏

熊野:
僕は、飽きやすくて新しいことが好きなので(笑)。これまでのライオンは開発となると、社内のシステム部門がスクラッチで何でもつくっていました。そこを一番に離脱したのが当社でした。関連会社なのでシステム部門がなかったのも理由の一つですが、コスト感やスピードを重視しながら効果的なものをつくるとなったときに、やっぱりクラウドだなと。

中尾:
ライオングループでもSalesforceを早い段階で導入されたのも熊野さんたちだと聞いています。

熊野:
先行してやっていく分、障害も多かったです。ですが、進めてみるとライオン本体から「こういうことをやりたいのですが…」と相談されることが増えていきました。いきなり本体が入れるとリスクが大きいですからね。狙ったわけではないですが、ライオンハイジーンが先に導入して検証するような体制になったのはよかったなと思います。

中尾:
まさに、ファーストペンギン(ベンチャー精神を持って行動する個人や組織)ですね。他にも例えば、デジタルを活用して営業車の事故軽減に挑戦されたり、社員に向けた改革も積極的に進められているそうですね。

熊野:
「これまでの体質を壊し続ける」。それぐらいの気概で取り組んでいます。スピードが遅いと後手に回って、もう手遅れになってしまいますから。変えていきたいと強く考えていて、5,6年前に比べると、グループ全体としてもかなりスピードが上がってきたと感じています。

ログインしない日はない。Salesforceの活用率100%

中尾:
Salesforceの導入で、どういった変化が起こりましたか?

熊野:
僕たちの会社では、SalesforceをSFA(営業支援システム)というよりも、あらゆる業務のハブとして使っています。これまでいろいろ細分化されていたシステムをすべてSalesforceと紐付けることで、ひとつにまとまり、業務が効率化したというのは大きいですね。おかげさまで、社内でのログイン率はほぼ100%なんですよ。

中尾:
100%ですか!? ライオンハイジーンさんの基幹プラットフォームになっているんですね。

熊野:
スタンダードな使い方を飛び越えて、いろんなシステム連携が増えています。こんなに変化が進むとは思ってもみませんでした。Salesforceの導入にあたって、みんなが情報をうまく利用できるように、データ活用をリードしてくださる方にも常駐いただいて、スタッフ研修なども指導していただいて、活用を進めています。

中尾:
僕たちタンバリンがはじめて熊野さんとお仕事させていただいたのも、SalesforceとIoTの連携でしたね。

熊野:
まだ詳細はお伝えできませんが、僕たちにとっても新しくチャレンジングな取り組みの一つです。Salesforceという基盤があることで、スピード感をもってこうした挑戦を進めることができています。

お客さまの想像を超えて、需要を創造していく

中尾:
お話を伺っていて、なぜ熊野さんがイノベーターになったのか、知りたくなりました(笑)。

熊野:
僕自身、ひとつのことにあまり執着するタイプではなくて、同じことをずっとやるより、終わったら次のところへ行きたいと思っていますね。

中尾:
次に注目されているテクノロジーはありますか?

熊野:
そうですね、テクノロジーを起点に考えるというよりも、アウトプットあってこその開発だなというのは最近よく思います。試したい技術や、新しいシステムを導入してからいろいろ試行錯誤しながら、アウトプットを模索する人もいます。だけど僕たちは、まず求められるアウトプットから逆算して「最短でできるテクノロジーがないか」と、考えるようになりました。

中尾:
結果や価値にフォーカスしていくということですね。そのアウトプットというのは、お客さま起点で考えられることが多いのでしょうか。

熊野:
ふたつあって、ひとつは短期的な成果をみせるならお客さまの視点で考えることが重要です。そしてもうひとつ、お客さまが考えていることを超えて行くことのほうがさらに重要だと思います。そこにゴールを設定しないと、本当の意味での「需要創造」はできないのかなと。

中尾:
お客さま自身が気づいていない潜在的な課題の中に、次の需要があるはずですからね。

熊野:
やはり、こちらが提案したことによって、「こんなことできるんだ!」と喜んでもらえるのが嬉しいところですからね。そのあたりを目標にテクノロジーの導入を考えていきます。

一緒にユーザーを見ながら開発を進められるパートナー

中尾:
タンバリンがご支援をスタートしたのは、HACCPが義務化され衛生管理のニーズがさらに高まろうとしている時期でしたね。

熊野:
市場の拡がりを見据えて、エンドユーザーの情報をより高精度に集めていきたいと考えていた時でした。Salesforceさんに相談したところ、タンバリンさんの名前があがってきたんですよ。

中尾:
ありがとうございます。

熊野:
こちらの要望を一方的に聞くだけではなくて「こうしたらどうでしょう」と、積極的に提案していただけるのが非常にありがたかったです。

中尾:
実際に、現場もご案内いただいて「ここの部分から取得できるデータがこの値です」というように丁寧に教えていただきました。使う人がどこで困っているのか、それならこういうアラートを出したらいいんじゃないか。僕たちも「ちゃんと使われるものにしたい」という強い実感を持つことができました。エンドユーザーとのつながりを大切にされているライオンハイジーンさんとのプロジェクトは、とても勉強になりました。

熊野:
僕はミーティングで話しながらどんどんアイデアが湧いてくるタイプなので、よき話し相手となってくれながら、僕たちのイメージをしっかり汲み取っていただけるベンダーさんと協業し続けたいなと思っています。

中尾:
僕たちとしては、ライオンハイジーンのみなさんが求めることを理解して、その上で作りこむべきところと、プラットフォームにもともと備わっている機能を活かせるところを切り分けて考え、「こういう設定をして次持ってきます!」といった柔軟性を大切にしてきたつもりです。

熊野:
そのスピード感がいいですね。僕たちとしては、完結してから納品してもらうより、途中でもいいからまずさわらせてほしい。そこでリプライしていくことが重要ですから。ある程度できたところで「これでイメージが湧きますか?」という提案がありがたいです。あと、何社かベンダーさんとお付き合いしているのですが、うちをハブにして、垣根を越えた関係性をつくりたいなと思っています。

中尾:
なるほど。僕たちとしても他のベンダーさんと話し合える機会はなかなかありませんからね。

熊野:
時々集まって意見交換したり、目指すべきゴールを共有できたりしたら、シナジーが高まっていくのかなと。

中尾:
そうですね、すごく刺激的です。みなさんと情報交換して、熊野さんに新しい提案ができればおもしろそうです!

熊野:
ぜひ、楽しみにしています!

中尾:
今日は貴重なお話を、ありがとうございました。